ずいぶん前に読んだショートショートで、こんな話がありました。
「個人のすべてのデータを一つのパスワードで管理するようになった」という設定の世界で、何かの事故で海に落ちて命からがら陸に上がった主人公が、濡れた服を着替えるために新しい服を買おうとすると、クレジットカードのIDを聞かれるが、財布とともにカードは海の中に落としてしまい、パスワードを彫った指輪も海の底に沈んでしまった。自宅マンションに帰ろうにもパスワードがないとカギを開けられず中に入れない…
星新一だったか、アイザック・アシモフだったか…。
これを読んだのは30年近く昔のことで、その本も出版されて数年たっていたと思うので、本当にずいぶん昔にこういう話をよく思いついたなぁと感心します。
この、主人公が失くした指輪、今でいうマイナンバーカードに似ていませんか?
紛失したり盗まれたりしたら、絶望しちゃいそうなところとか、各種データを一つのパスワードで管理するところとか。
先日実家に遊びに行き、母と話していてマイナンバーカードやマイナポイントの話題になりました。
母(80代)はガラケー持ちでスマホに変える気はなく、クレジットカードは持っておらず、車の免許も持っておらず、電子マネーは使い方がわからないからとその類のカードも持たず使わず、身分証明のために住基カードを持っています。
住基カードがあるのに、いまさらマイナンバーカードを持つことにメリットを感じないと言います。
そして、マイナポイントも、もらえるかもしれないけど使い道がわからないとも。
母はキャッシュレス決済サービスを一切利用していません。
しかし、マイナポイントを受け取るにはキャッシュレス決済サービスが必要なのです。
mynumbercard.point.soumu.go.jp
母のようにマイナポイントを受け取ることができない人や、マイナンバーカードを持つことにメリットを感じない人は大勢いると思います。
国はこういう人たちの声を聴き、なぜ必要なのか、なぜこの事業を進めているのかを丁寧に説明する必要があると思います。
マイナンバーカードを健康保険証と一体化する話が進んでいます。
マイナンバーカードを運転免許証と一体化する話も進んでいます。
マイナンバーカード単体で、多くの人に持たせようと国が必死です。
マイナンバーカードの機能をスマホに搭載する(アプリで?)話も出てきました。
同じ機能の物をいろんな形態でやるの…?
なんで?
かえってごちゃごちゃにならない?
ひとつのことをやろうとするのに、散漫になっている気がするのは私だけでしょうか?
この制度にはまだまだ不備があるように思います。
有識者だけでなくごく普通の国民ともいろいろ話を聞いて、しっかり練り上げてから始めたらよかったのに、見切り発車感が否めません。
今後、どうやって未取得の国民を納得させるのか、注目したいと思います。
「
面倒くさがりないち主婦のたわごとですけどね。