お気楽主婦の日常

東北の田舎に住む、ごく普通のおばちゃんの日常や思い出話

訪問入浴のお仕事

昔、介護事業所で訪問入浴の仕事をしていました。

看護師を含む3人1組になって、持ち運びできる浴槽を積み、ボイラー付きの車で利用者さんのお宅を訪問します。私が勤めていた事業所は担当エリアが広く、一番遠くの利用者さんのお家まで車で片道1時間半かそれ以上かかることもありました。だいたいそこに着くまでに何件かこなすんですが。

 

利用者さんのお家に着いたら、室内にシートを敷いてその上に浴槽を設置し、排水場所の確保や給湯ホースの接続、排水ポンプの電源確保…といった準備をします。その間に看護師が介護者さんから利用者さんの様子を聞き取り、体温や血圧を測ったりして入浴可能か判断します。体調が悪く入浴不可能なときは清拭をします。

利用者さんを3人で抱え、浴槽まで運んで入浴開始。利用者さんに声をかけたり、会話のできる利用者さんとは世間話をしたりして体をきれいにしていきます。入浴を済ませ、体が温まって気分がさっぱりした利用者さんの嬉しそうな顔を見ると、「この仕事をしてよかった」と、やりがいを感じたものです。

 

利用者さんの中には、結核や肝炎など感染性の疾病をもった方もいます。そういうときは感染症対策の道具を使ったり、訪問の順番を考えたりします。自分たちを介して他の利用者さんにうつさないよう、細心の注意を払います。

 

疥癬にかかった利用者さんには、特別の装備が必要でした。マスクはもちろんのこと、肘の上まで届く長い手袋や使い捨ての合羽のようなもの上下、髪の毛が出ないように帽子を被り、靴下は捨てても良いものを履いて行って、入浴と片付けの後、全部袋に入れて口を縛り、決められた方法で捨てていました。

 

新型コロナに対応する医療従事者の方が着ている防護服をテレビで見て、何故か訪問入浴の疥癬対策装備を思い出しました。自分がうつらないこと、他者にうつさないこと、とても大事です。

 

腰痛や人間関係にも悩みましたが、家庭の事情でどうしても続けることができなくなり、この仕事を辞めてしまったのですが、いずれ私の家でもお世話になるかもしれない、大事なお仕事だと思っています。

 

ところで、初めて訪れたお家や不動産広告の間取り図を見ると、「ここに利用者さんのベッドがあるとすると、浴槽はここに設置して排水はここで…」と脳内シミュレーションしてしまうのは、職業病でしょうか?この仕事を辞めて何年も経ちますが、未だに考えてしまいます(笑)

 

#しごとの思い出

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